約 4,686,967 件
https://w.atwiki.jp/niconicomugen/pages/6545.html
「続いて、気象情報です」 NHKのニュース番組「ニュースウォッチ9」の気象情報に登場するキャラクター。 命名・キャラクター原案は気象予報士の平井信行氏。担当声優は 豊崎愛生 氏。 2009年2月17日の天気予報から登場し、可愛らしい外見から多くの大きいお友達からの支持を得た。 ニュースウォッチ9では各季節ごとにイメージキャラクターが存在し、春ちゃんはその名の通り春担当の女神という設定。 モチーフはギリシャ神話の女神ペルセポネ。 + 冥界の妃が春の女神? ベルセポネって冥界の妃じゃ?と思う人もいるかもしれないが、元々は豊穣の女神デメテル(セレス)の娘コレーである。 それを冥界の王ハデスが攫って結婚した事を怒ったデメテルが仕事を放棄、地上に永遠の冬が訪れた。 「冥王の嫁なら立派な玉の輿だろ」と言っていた最高神ゼウスも流石に困り、ハデスにコレーを返すように言ったが、 冥界の食物を食べたものは冥界の者とする決まりがあり、すでにコレーは冥界の食物(ザクロの粒)を口にしていた。 最終的にベルセポネ(コレー)はデメテルの下に8ヵ月(6ヶ月)、ハデスの下に4ヶ月(6ヶ月)過ごす事に決まる。 結果、ベルセポネが地上に来ると春が訪れ、冥界に帰ると冬(6ヶ月説だと秋)になると言う具合に四季が生まれた。 余談だが、星座のおとめ座はデメテルの事である。娘はいるけど乙女ですよ。 ついでに言うと、ゼウスはコレーの父親で、デメテルの弟。ハデスはゼウスの兄(=コレーの伯父)である。 近親相姦?神話時代では普通ですよ、エジプト神話もラーの子ども達(オシリス、イシス、セト、ネフティス)が兄妹同士で結婚して子供(孫)作ってるし。 日本でも(名家に限るが)江戸時代までは普通だったし。 このため(上の画像だと分かりにくいが)ピンク色の上着の下は古代ギリシャを思わせる衣装を着ている。 他には、小夏ちゃん、梅雨君、夏将軍、秋ちゃん、冬将軍などの仲間が存在する。 と言うか、元祖は冬将軍の方である。中には存在が忘れ去られたキャラクターも twitterや公式サイトの写真館でのコメントではかなり淡々としておりシュールだが、 公式の4コマ漫画ではのんびりとした感じの性格となっている。 MUGENにおける春ちゃん せんとくんを製作したGockRoach氏による、手描きの春ちゃんが存在していた。 お伴の秋ちゃんら季節仲間のサポートを受けつつ、春にちなんだ攻撃で戦うキャラ。AIもデフォルトで搭載済み。 様々な春ネタやニュースウォッチネタが盛り込まれており、愛に溢れた仕上がりであったが、 残念ながら2014年8月のレンタルサーバ閉鎖に伴いサイトが消滅、現在は入手不可となっている。 基本的にリーチが短く、技の発生も遅めであまり強くないという、カンフーマンに勝てる程度の強さだったのだが、 技の追加で「ねんがんの しんごうきを たおしたぞ」と投稿者コメントが書き込まれるくらいに強くなったようだ。 頭だけの姿に変身して突進するギャグとしか思えない技もあるが、無敵ではないので容易に潰せる。 また、突進の際に「じゃじゃーん」と発しているが、これは春ちゃん自身の音源ではなく、 豊崎女史が演じた他のキャラのもので、他の掛け声も別のキャラから使われている (元ネタからして戦闘とは無縁なのでしょうがない)。 一撃技を搭載しており、その時流れる曲と演出は一見の価値あり。 音源の一部 本体製作動画最新版 Silvan氏による外部AIも存在していたが、現在は公開されていない(2012年8月15日更新)。 Silvan氏AIとの対戦(18 40~) 出場大会 リリー「春ですよー!タッグですよー!」 作品別トーナメントRe 手書きキャラonlyトーナメント 地獄の果てまでもっと!仲良し! taruの選抜タッグ大会 2012年公開キャラ&AIでタッグチーム大会 巡り会う運命よ再び!高性能タッグ大会【ステラ杯2】(おまけ) プレイヤー操作 単発!良キャラ発掘絵巻(part117)
https://w.atwiki.jp/10932tb/pages/565.html
【種別】 用語 【用語】 僕ちゃん 【よみがな】 ぼくちゃん 【使用話】 第27話、仮面ライダー電王&キバ クライマックス刑事 ウラタロスが侑斗を呼ぶ時の呼称 【関連するページ】 用語
https://w.atwiki.jp/splatoon3strategy/pages/33.html
選択肢 投票 役に立った (0) 概要・目的 スパジャンは、歩きやイカダッシュでは移動できない場所にも比較的短い時間で移動できる手段である。歩き、イカダッシュ同様、このゲームにおいて移動することは基本的な動きなので、使い慣れておきたい。 スパジャンをする目的には以下のようなものが考えられる。 敵に囲まれるなど不利状況を強いられそうなときに逃げるためにスパジャンをする 前線にいち早く復帰するためにスパジャンをする 自分の位置をつかませないためにスパジャンをする 味方が上手く裏に抜けられているとき、一緒にに裏をとるためにスパジャンをする なお、何もギアを積んでいない状態での性能は以下のとおり。 貯め時間 1.7秒(102f) 滑空時間 2.3秒(128f) 合計時間 4秒(240f) 上記はヒト状態の時間であり、イカ状態だと0.35秒(21f)待機時間が短縮される。 判断・タイミング スパジャンで最も避けたいの着地狩りである。そのためにも、どこならスパジャンをすべきで、どこにすべきでないかの判断が重要となってくる。 【飛んでも安全と思われる場所】 味方インクに囲まれている場所 塗り状況が動いておらず、交戦してないであろう場所 前線から離れた自陣側 遮蔽物の後ろ 【避けた方がよい場所】 敵インクが動いており、交戦しているであろう場所 敵インクだらけのところ 敵影が映っているビーコン 目立つ場所(例えば高台) 飛んでも時間が無駄になるだけの近場 ただし、多少危険でもスパジャンする以外に勝ち筋が見えない場合は、飛ぶより他に選択肢がない。 また、各ルールにおけるスパジャンを使うタイミングは以下のとおりである。 【ガチエリア】 ガチエリアを確保しており、敵をガチエリアに近づけさせないように前線で抑え込んでいるとき ガチエリアを急いで確保する必要があり、ガチエリア付近で味方と敵がエリアを塗り合っているとき (カウントが負けており、試合終了間近で絶対に塗り切らないといけないとき等) 敵に前線を押し込まれている際に、味方が上手く裏に抜けられているとき 【ガチホコバトル】 ガチホコを味方が持って攻めており、前線でまだカウントを進められそうなとき ガチホコを味方が持って攻めており、前線で味方と敵が撃ち合い、攻めあぐねているとき ガチホコを敵に持たれて攻められており、敵が自陣ゴール側に向かっている時 (後ろから追いかけても間に合わないとき) ガチホコを敵に持たれて攻められており、前線で味方と敵が撃ち合い、防衛をしているとき 【ガチアサリ】 味方が敵ゴールにガチアサリを入れ、まだカウントを進められそうなとき 自分がガチアサリを持っており、味方が敵ゴールの近くまで来れたとき 敵が攻めあぐねており、状況が拮抗している状態のとき 【ガチヤグラ】 味方がガチヤグラに乗って攻めており、まだカウントを進められそうなとき 敵がガチヤグラに乗って攻めてきており、味方が有利ポジション(カンモン前の高台等)にいるとき 具体的な方法 まずは、マップを開いて状況を判断すること。そして十字キーで飛び先を選択し、飛ぶ。 この際、十字キーの下でリスボーン地点、それ以外で味方に飛ぶことができることに留意し、例えば、後衛にあたる味方に対応するキーを覚えておき、余裕がない時は、後衛周辺の状況だけを確認し、リスボーン地点か後衛かのどちらかに飛ぶように判断すると早い。 練習方法 まずは、使うタイミングを決めておくとよい。 そのうえで、できるだけ早く操作できるように練習する。 注意点 メリット・デメリット スパジャンには以下のメリット、デメリットがあることに注意しよう。 【メリット】 スペシャル温存 相手のスペシャルを溜めさせない 復帰の時間短縮 【デメリット】 復帰に時間がかかる 味方の位置を教えてしまう ステージによる違い 縦長で広く復帰に時間がかかるステージであれば、スパジャンによる時間短縮の恩恵は大きい。逆に、狭かったり、ショートカットが多くすぐに前線復帰できるステージであれば、恩恵は小さく、着地狩りによるデメリットが相対的に大きくなる。 このページについての議論 名前
https://w.atwiki.jp/2chddos/
2ちゃんねるにDDos攻撃をしよう あの糞みたいな永久追放されるべき糞サイト2ちゃんねるをDDos攻撃で潰すサイトです。
https://w.atwiki.jp/suteteco/pages/56.html
風ちゃん 756 名前:風ちゃん 投稿日:2005/11/08(火) 17 59 22 ??? メイリン「あれ、風ちゃんどうしたの?」 風雲再起「ブルル」 メイリン「お腹がすいてるのかな?待ってね食堂からニンジン持ってくるから」 風雲再起「ブルルン♪」 メイリン「よかった、喜んでくれて。え?お礼に乗せてくれるの?」 風雲再起「ブルル♪」 メイリン「わ!乗馬ってしたことないの!ちょうど非番だしよろしくね、風ちゃん」 3分後 時速400キロを突破する風雲再起 メイリン「あ”ーっあ”--!!こいつもやっぱりガンダムファイターだったの忘れてたーッ!!!」 アーサー「お、メイリンじゃないか!楽しそうだな~」 メイリン「いや!?違うって!助けてくださいよ!!ってあんたここで「ええーっ!?」って驚く役じゃないのーっ…」 シン「お、いいなあメイリン。ドモンさんに修行付けてもらってるのか」 メイリン「ちが!ちが!ってたすけれ…ああ、また見えなくなっていくぅ…くそう! あいつ最終回できっと超ボコられる!ううん、知らないけど絶対そう!!」 アスラン「お、メイリン脱走か?奇遇だな~俺もちょうど脱走しようとしていたところなんだ」 メイリン「マジで!?おちつけ!って飛び乗ってきたーっ!!けど振り落とされたーっ!!」 東方不敗「風雲再起め、今日は楽しそうだのう」 ドモン「は!何よりです、師匠」 http //anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1127639075/756
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/19346.html
登録日:2010/02/15(月) 18 16 50 更新日:2023/12/23 Sat 19 29 45NEW! 所要時間:約 2 分で読めます ▽タグ一覧 NHK おじゃる丸 ちっちゃいものクラブ ボロ布 ヤンデレ 満願神社 神 神社 貧ちゃん 貧乏神 雑巾 齋藤彩夏 CV:齋藤彩夏 アニメ「おじゃる丸」に登場する貧乏神で、月光町の満願神社に住み着いている。 しかし、貧乏神であるため満願神社はいつもボロボロ。 おこりんぼうからは疎まれている。 見た目は手の平サイズのボロ布で、ボソボソとか細い小声でしゃべる。 あのボロ布は服なのだが裸の姿は誰も知らない。 耳かきや風呂などの日が年に一回決められており、その際におじゃる丸が貧ちゃんの服の下を見ようとするのはお約束。 ニコ坊には「貧ちゃん神さん」、おじゃる丸には「貧」と呼ばれるほか、カタピーには「ムッシュ貧」と呼ばれるが、神様なので性別は無い。 が、初登場時は「僕」と言っていたのがいつのまにか「私」に変わっており、 スタッフは女の子として描いているのではないかと思える節がある。 人間には姿が見えない。 また、神様なので怒ると目茶苦茶恐い。 とてもネガティブな性格。趣味は裁縫。 触れた生物の「やる気」を吸い取る程度の能力を持ち、板チョコのような「板やる気」として蓄えている。 しかしなぜかうすいさちよ28歳独身に触れてもやる気を吸い取れないばかりか、 うすいが妄想を糧に漫画を精力的に執筆し始めると、眩しすぎるといってこっそり去る。 かつてうすいさんを自分の手で不幸にしようとしてくっついていたが、 おじゃる丸から彼女が幸せを望んでいると聞かされてからは再び満願神社に居着いた。 さらに「貧乏になってみたい」という金パパの願いを叶えに向かった時は、金パパの溢れる金持ちオーラにあてられ、体が金色になって固まってしまった。 一定期間やる気を吸い取らなかった場合も体が金色になり、不良ぽくなる。こっちは多分スーパーサイヤ貧的なもの。 ちっちゃいものクラブ会員番号7番だが、集会には出ないことが多い。 細胞分裂のように体を何体にも分裂させることが出来る他、 『長老』『貧たん』『貧どん』などの貧乏神仲間がいて同窓会を開いたりしている。 よく似た声の合法ショタがいるが、金持ち校と名高い桜蘭高校に通っているのでおそらく関係ない。 同じように人妻眼鏡武器屋を目の敵にしているドワーフロリババアや輝く金の花の妹とも関係ない。 ―ある昼下がり、小鳥はさえずり、花はまどろみ、水溜まりは澄んだ青空を映し― 劇中で貧ちゃんが口ずさんだ貧乏神に似つかわしくない名曲。 EDテーマにもなった。 ちなみにこの曲が本編に登場した回において、貧ちゃんはちっちゃいものクラブの面々に「自分のテーマ曲を作ってほしい」と依頼。そしてアレコレ注文をつけまくった末にこの曲を披露した。 追記・修正お願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 皆に自分のテーマソング考えてくれ言ったのに 散々文句言ったあげく自分で作って唄っていたな -- 名無しさん (2014-01-09 09 40 05) かわいい。めっちゃかわいい -- 名無しさん (2014-05-25 14 09 10) ある回で未成年だと発覚 -- 名無しさん (2014-05-25 14 12 15) 実は吹雪を起こせる それでおじゃる丸を凍らせたことが・・・ -- 名無しさん (2014-06-05 09 04 55) おこ・にこの狛犬兄弟を美少年にしちゃったことがあった。 -- 名無しさん (2014-06-05 09 09 55) おこを耳かきしているときおこがとても気持ちよさそうだったのを思い出した。これで貧乏神じゃなかったら・・・・。 -- 名無しさん (2014-06-05 09 40 16) 服(?)を裏返しに着ると逆に福の神になる。 -- 名無しさん (2015-01-30 22 32 15) もしあの世界にこの子より強い貧乏神がいたら、金ちゃんファミリーもド貧乏にできる…かも? -- 名無しさん (2023-01-29 16 19 20) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/taimashiyukichanwiki/pages/22.html
滅魔師の津上(つがみ)チヤが持つ、黒い正二十面体。その大きさは、ソフトボールほどの大きさがある。 そもそもリンフォンとは、都市伝説に語られるアイテムである。インターネット上に流れる噂話によれば、このリンフォン表面を撫でたり引っ張ったり押し込んだりすることで、あたかも木組み細工のパズルのように変形していき、「熊」「鷹」「魚」の彫像に変形するという。 このパズルの恐ろしさは、パズルを組み上げ始めたものが、「熊」→「鷹」→「魚」の順に彫像を変化させていくごとに、周囲では怪奇現象(携帯電話に「彼方」と着信したり、何者かに追われる悪夢を見るなど)が発生する点にある。このリンフォンの正体は、「凝縮された獄小サイズの地獄」「地獄の門」などとされ、都市伝説の終盤では、所有者はこれをガムテープで何重にも巻いて廃棄したという。 ユキちゃん世界における閻婆事件(激突! 退魔道 vs 滅魔道のエピソードのことを指す)の 10 年前、前戸(まえと)レイヤとの獄正(ごくじょう)得度(とくど)戦(せん)に敗れた津上カズトモ(第十九話より)は、自らが地獄に行くことで、滅魔師の奥義の神髄までもを学び、彼を凌駕する滅魔士になる、という狂気の野望を抱く。その折、カズトモはこのリンフォンの都市伝説を聞きつけ、八方手を尽くして捜索を行うことで、閻婆事件の 5 年前に、某県某所の廃棄物最終処理場に埋もれていたリンフォンを発見した(第八話より)。リンフォンが地獄の門であるという噂が真実なら、これが地獄に向かう特急券になる、と彼は判断したためである。 カズトモの研究の結果、リンフォンは操るために相応の霊力を要求するが、それさえクリアできれば、地獄の門を本当に開くことができることを突き止めた。それを、偶然極めて高い霊力を持って生まれた自らの娘チヤに持たせれば、娘と共に生きたまま地獄に行ける、とカズトモは判断したのである。 ただ、カズトモは父親としての愛情もあり、同時にこのリンフォンに対し、娘のチヤが使える武器としての機能を持たせることを発想した。リンフォンの変形を、霊力を注ぎ込むことで自動的に行えるようにし、かつ「熊」「鷹」「魚」の彫像の形態から派生する、三つの武装形態への変形機能を追加したのである(第九話より)。 それが、のちに「『熊』の『爪』」「『鷹』の『弓』」「『魚』の『刀』」と呼ばれる、三つの形態である。 リンフォンは形態変化が進むにつれ、この世と地獄の境界線を薄れさせ、地獄の瘴気を現世に漏出させる機能がある(第十六話より)。これが、リンフォンの変形が進むことによって、亡者の唸り声が聞こえ、黒い煙が吹き出たりする原因である。 ただし、この地獄の瘴気は、同時に滅魔師の操る術の力の根源である。カズトモは、リンフォンから漏出する地獄の瘴気を、リンフォンの武装形態に転用する改造を施したことで、チヤは滅魔の術を編むことなく、犠牲者の魂を砕くことが可能である。 以下は、各武装形態の大まかな特徴である。 「『熊』の『爪』」 チヤちゃんはその真っ黒な球……じゃなくて、「セーニジューメンタイ」っていうのの表面をスッと撫でた。 そしたら、真っ黒なセーニジューメンタイが、カチャカチャと音を立てながら、ひとりでに変形していく。 「変形。『熊』――」 そうしたら、チヤちゃんの手の中では、真っ黒な熊の置物が完成していた。 「――の『爪』」 そして、熊の置物がまたカチャカチャと音を立てて、あっという間にその前足の二本が膨れ上がる。 最後に出来上がったのは、チヤちゃんの指先から肘までをすっぽり包めるくらいの大きさのある、真っ黒な二つのグローブだった。昨日の夕方、わたしがチヤちゃんと初めて会った時に着けていたものだ。 このグローブをはめたチヤちゃんの両手は、本来の何倍も太く見えて、本物の熊の爪みたい。 リンフォンの第一の武装形態。チヤが両手にはめる、黒い熊の前足を模したグローブ。装着することによってチヤの腕力を増幅させ、地面を叩くことで木の上まで飛び上がり、ヴァンパイアと取っ組み合いを可能にするほどの力を与える。 この「『熊』の『爪』」では、妖魔を殴り、爪で引き裂き、握り潰して粉砕するなどの、力任せな格闘戦が可能となる。 「『鷹』の『弓』」 「変形! 『鷹』の――」 チヤちゃんのリンフォンが、ひとりでに動き出し、回り、出っぱり、へこんで、熊の置物から別の置物と化した。 それは、真っ黒な鷹の彫刻。けれども、リンフォンの変形はまだまだ終わらない。 広げられた鷹の翼が一気に伸び上がった。鷹の右と左の翼の端から端まで、一本の細い糸が渡される。 鷹の首は九十度曲がり、大口を開けた。口の中から舌が伸びて、矢をかけるための支えに代わる。 ここまで姿が変われば、この形が何なのか、もうわたしだって見間違えるはずがない。 「――『弓』ッ!!」 チヤちゃんのリンフォンは、「熊」の「爪」ではない別の姿、「鷹」の「弓」へと変わっていた。 チヤちゃんは、弓幹(ゆがら)へと変わった鷹の、その尾羽を引き抜いた。たちまちのうちにそれは、一本の矢へと変わる。 「よくも、わたしのパパを……ママを……きょうだいを!」 チヤちゃんは一気に「鷹」の「弓」につがえた矢を引き絞り、それを撃ち放つ。 リンフォンの第二の武装形態。鷹の彫像が変形し、黒い弓となる。リンフォンの武装形態のうち、唯一射撃戦が可能な形態。撃ち放つ矢は、鷹の尾羽を引き抜くことで補充が可能で、かつ連射も可能である。空を飛ぶ妖魔を相手にする際などに有効な形態である。 「『魚』の『刀』」 「変形――」 チヤの右手のリンフォンが、漆黒のもやのようなものを吐き出した。木組み細工か何かが動くかちゃかちゃという音を立てながら、リンフォンは正二十面体の姿を失う。 最初に組み上がったのは、熊の彫像。 次にできたのは、鷹の彫像。 そこで、変形は終わらない。 「――『魚』の――」 リンフォンから噴き出る漆黒のもやは、更にその濃さを増しながら姿が変わる。 鷹の翼が折りたたまれ、より長く胴体が伸び、現れたのは魚の彫像。 魚の彫像の鼻先が、やがて長く太く、そして鋭く伸びてゆく。 「――『刀』!」 変形が終わったとき、チヤの右手には一振りの黒い刀が握られていた。 魚の胴体の部分を柄に、円状に広がった胸びれを鍔に、伸びた吻(ふん)を片刃の刀身に変形させた異形の刀を、チヤは閻婆に向ける。 リンフォンの第三の武装形態にして、最高位の武器形態。伸びた魚の吻(ふん)が刀身となっている、独特なデザインの刀となる。純粋な攻撃力であれば、三つの武装形態の内で最も高いが、その分この形態の維持には大量の霊力を消耗する。チヤは閻婆事件の際、リンフォン「『魚』の『刀』」と「布都御霊剣(ふつのみたまのつるぎ)・人為(ひとなし)」を二刀流し、同時に構えるという、並の滅魔師の霊力では困難な離れ業を披露して見せた。しかし、チヤほどの膨大な霊力をもってしても、これらの二刀流を長時間維持することはできず、やむを得ずリンフォン「『魚』の『刀』」は途中から利用を諦めている。 なお、リンフォンは「魚」の彫像に続く、第四の形態にして最終形態の「地獄の『門』」への変形も可能である。ただし、この「地獄の『門』」への変形を行うためには、チヤがある程度の時間をかけて霊力を練る必要がある模様。また、さすがにいつでも「地獄の『門』」に変形できてしまえるのは都合が悪い、とカズトモも判断したようで、霊力によって生成される、言霊の鍵「言霊錠(げんれいじょう)」で、普段はこの形態への変形機能は封印されている(第二十話より)。
https://w.atwiki.jp/chisato_ojosama/pages/575.html
前へ 「おい・・・おいおいなっちゃんよ。キテるよね、ちさまい。どうすんの、これ」 「心配しなくても、舞ちゃんの脳内はいつもキテるよ・・・痛っ!蹴らないでよ!女の子でしょ!」 無事コンサートを終え、食事の後ホテルへ移動する車内で、私は隣のなっちゃんに話しかけた。 「聞いてよ!だってすごくない?舞の愛が、あの(自主規制)の千聖の浮気性をなおしゃしぇたのでしゅ」 「・・・うん、本当に良かったと思う!おめでマイマイ!」 持ち前の女優魂を発揮して、わざとらしい笑顔で祝福してくれるなっちゃん。憎たらしいけど、今は幸せだから流してやる。 後部座席で、イヤホンを舞美ちゃんと分け合ったまま眠りこけてる俺のちしゃとの顔をチラ見して、さらに私の機嫌は良くなっていく。 「しかもさ、このタイミングでだよ?今日さぁ」 「うん」 「舞と千聖、ホテルの部屋一緒なんだけど!」 そう。 「もう浮気やめる」と千聖が宣言し、キスまでくれたこの記念日に、なんとなんと相部屋だったのです、ちさまい! これはもう、運命が私たちを祝福していると言ってもいいはずだ。 「てか、ちさまいは大体いつも同部屋じゃん」 「・・・なっちゃんって、乙女心わかってないよね。ちゃんと恋愛しないであればっかやってるからだよ、一人エ」 「ギャアアアア」 うるさい!と寝ぼけた千聖にかばんを投げつけられて、私たちは肩をすくめた。 「ま、でも良かったんじゃない?マジで」 落ち着きを取り戻したなっちゃんが、したり顔で再びささやいてきた。 「だって、舞たちの関係が安定してるんだったら、早貴はもうあのちさまいエロ妄想を聞かなくてよくなるんでしょ?」 「なにいってんの、あれはまだまだ続くよ」 「ぎゃふん」 「てかほんとにね、なっちゃん。 舞はね、後悔してるの。前に千聖にひどいことしたでしょ。あれは本当に良くなかった」 そう、なっちゃんのエロDVDに感化されて、千聖にあんなことやこんなことをしたあの事件。 あれは興奮し・・じゃなくて、本当に本当に反省しているから、しばらくはエロい接触は避けようと、ずっと舞なりに気を使っているのだ。 「だから、なっちゃんには今後も舞の妄想劇場に付き合ってもらうよ。定期的に放出しないと、噴火しちゃうから」 「もー、マジ勘弁・・・」 うんざり顔のなっちゃんは放置して、私は窓の外へ顔を向けた。 ともあれ、今日の私はすこぶる機嫌がいい。 千聖が舞だけ見てくれるって言ってくれたんだから、もうそれだけで十分。 えりかみたいに抱き合ったりとか、舞美ちゃんみたいに千聖の体に触れたりする必要は全然ない。 もっと深い、心と心の大事なところが重なり合ってるっていうことが重要なんじゃないかな。愛ってそういうものだと舞は思いましゅ。 キスをしたり、それ以上の事をするっていうのは、あくまでその延長線上にあることであって云々 ***** 所変わって、車移動から30分後のホテルのちさまい部屋。 「・・・まーい、千聖ちょっと外出るから」 「えっ!う、うん」 「大丈夫?」 「へーき。てか気にしないで」 部屋の扉が閉じる音を背に、私はため息をついた。 ――全然ダメ。舞、意思弱すぎ!!!私は頭を抱えた。 さっきなっちゃんに車の中で威張り散らした言葉のとおり、同室だからといって、別に千聖に変な事をするつもりはなかった。本当に。この部屋の中を見るまでは。 「・・・和室とか、エロすぎじゃね」 私はそうつぶやいて、お布団の上にダイブをかました。 そう、珍しい事に、本日は和風のお部屋だった。 そして、ホテルの人が宿泊人数を間違えたのか、布団は一つしか敷いていなくて、千聖が「うわー、めっちゃドキドキするぅ」なんて言うもんだから、プラトニックラブ(笑)を唱えていたはずの私の頭は瞬時に沸騰してしまったのだった。 畳の匂い。枕もとの仄かな灯篭。ちょっと古ぼけた布団。 いつもの部屋と勝手が違うからか、はたまた日本人のDNAに刻まれていてどうたらこうたらだからか、すごくドキドキしている。 やっぱこれは・・・一緒の布団で寝るのか。そんなことして、私は大丈夫だろうか。 きっと寝るとき、千聖は手をつなぎたがるだろう。 そんで、舞ちゃんの手ってあったかいね、とかいって妖しく笑うんだ。 そのまま、私の肩に頭を押し付けるようにして、高い体温と、艶かしい寝息が・・・ 「あああもう!!!」 「舞、なにやってんの?」 土下座ポーズでもだえていると、いきなり後ろからお尻を蹴られた。 「んだよ、千聖・・・って、ちょっとまって、何それ!」 「何って、見ればわかるじゃん。ちょっと手伝ってよ」 顔を上げ、いとしのちしゃとを眺めようとした私の視界に、信じられないものが飛び込んできた。 「なんでそんなの持ってきてんの!」 「だって、このままじゃどっちか布団なしになっちゃうじゃんか」 そう、ちょっとの間部屋を出ていた千聖は、小さい体をよたよたさせながら、布団セット一式を持って戻ってきたのだった。 何怒ってんだよー、なんて笑いながら言うその笑顔が心底憎たらしい。 「マネージャーさんに聞いたらさ、一組布団あまってるっていうから」 「・・・舞と一緒に寝ればいいじゃん」 「やだよ暑苦しい」 睨みつける私なんて相手にもせず、千聖は手際よく布団をセットしていく。 もう、本当にデリカシーないんだから!さっきまでのドキドキ感も、ムラムラ感も一気に吹っ飛んでしまった。 「舞?」 「もーいい。舞疲れたから寝るよ。お休みっ」 「うわっ、こえー」 明らかに拗ねてるってわかってるはずなのに、千聖は気にも留めてくれない。 まったく、付き合いが長いというのも考えものだ。こういう時、ご機嫌なんてとらずに即放置プレーになってしまう。背中越しに聞こえる鼻歌が、さらに苛立ちを倍増させる。 「ねー、電気って、手元のやつ以外は消していい?」 「好きにすれば」 「ほーい」 信じられない。信じられない。信じられない。何その軽い態度は! 今日の今日まで浮気三昧で、やっと改心した日ぐらい、もっと彼女(舞でしゅ)に優しくするべきなんじゃないのか! 「おやすみ、舞」 「・・・うん」 わかってるけど。千聖の本妻で居続けるためには、こういう試練にもじっと耐えなければならないんだって。 でもちょっとぐらい、舞の布団に布団くっつけるとか、いじけてるんだから機嫌とるとか、そういうオプションがあってもいいんじゃないのかい、岡井さん! 「んん・・・フガフガ」 その後もたっぷり数時間、私はふとんの中で悶々としていた。 対照的に、マイペースに寝言を繰り返す千聖。もう、勝手に一人で寝ないでよ!寂しいじゃん! 「グフフ・・・むぃやヴぃちゃぁん・・・」 「あぁん?」 「グフフフ・・・しょんなとこ、だめだぉ、みやびちゃん・・・ドゥフフフ」 ――プツッ 自分の頭の中で、何かが弾ける音がした。 えっっっらそーに、「みやびちゃんは性欲の対象には(ry)」とか言ってたくせに、はい出ました、岡井さんの大嘘つき! 「ムフフフ・・ぐへへへ」 「うるさい、千聖!」 いい度胸じゃないか。恋人の隣で違う女との夢を平然と見るなんて。NO浮気宣言をしたこの日に。 そっちがその気なら、こっちもその気でしゅよ、岡さん。 「・・・てか、うちら恋人同士なんだから、いいよね」 自分のその声がやけに湿っていて、舞様モードに切り替わったことを自覚する。 私はゆっくり体を起こして、仄かな明かりに照らされた寝顔をジッと見た。 こんなに舞のこと苦しめてるのに、唇をむにゅむにゅ動かす仕草は赤ちゃんみたいだ。そのギャップに心臓がドキドキと波打つ。 「千聖が悪いんだからね」 車の中での、なっちゃんへの宣言を打ち消す言い訳をしながら、私は一気に千聖のふとんをはぎとった。 ・・・ ・・・・・ ・・・・・・・ 「岡井さーん・・・」 はだけてる、というレベルじゃなく、腰のとこに全部巻きついた浴衣。 ずれたブラ。はみだすたゆんたゆん。がにまたに青いパンツ。無意識にへそを掻く手。 無駄なナイスボデーとはよく言ったものだ。 千聖の布団の中では、想像以上の光景が広がっていた。 「・・・マジで、ありえないんだけど」 真っ白だった頭が、少しずつ冷えて元に戻っていく。 まあ、いろいろ丸出しになっていらっしゃいますし、シチュエーション的にはエロいと言えなくもないけれど、エジプトの絵画のようにカクカクと直角に曲がる手足と、あまりにも幸せそうなアホっぽい寝顔が、私の気力を萎えさせる。 これは・・・素直に欲情していいものか。それとも紳士的に浴衣を直して、何事もなかったように隣で眠るべきか。 世にもくだらない葛藤に頭を痛めながら、私は布団を剥ぎ取ったまま、お日様が昇るまで千聖の惨状を凝視し続けたのだった。 次へ TOP
https://w.atwiki.jp/stairs-okai/pages/158.html
それからも私と栞菜は、千聖とえりかちゃんの動向にひそかに注目していた。 2人・・・特にえりかちゃんにはこれといって千聖への態度に変化は見られない。普段どおり、近くにいればちょっかいを出したりお喋りしたり。 「ねえねえ、あれってどうなんだろう。終わった2人って感じしないんだけどなあ。」 「うーん・・・そうだねえ」 レッスンの休憩中。私達の視線の先では、舞美ちゃんとえりかちゃんと千聖が楽しそうに何か話している。 舞美ちゃんがふざけて千聖に飛びつこうとすると、えりかちゃんは運動オンチらしくもない動きで千聖の腕を引いて抱き寄せた。 「ちょっと見た今の!?」 「うん、何か・・・」 えりかちゃんの胸に顔を押し付けられてる千聖は、少し困った顔をして、ほっぺたを赤くしていた。 まだえりかさんを好き。千聖はそう言ってた。もしその気持ちを知っていてああいうことをしているなら、それはとても残酷なことのように思えた。 体を離してからも、千聖はえりかちゃんの方ばかりを見ている。千聖がえりかちゃんといる一瞬一瞬を本当に尊く思っている気持ちが伝わってくるようで、何だか私まで胸が切ない。 「ラジオの時にでも、えりかちゃんに聞いてみようかな・・・。」 この秋のラジオ番組の改編に伴って、キューティーパーティーが終わった後、新たに違う局でキュートの番組が始まった。メインパーソナリティは私とえりかちゃん。 意外な組み合わせすぎて、最初の打ち合わせの時はお互いに照れ笑いが止まらなかったけれど、実際に収録を始めると、なかなかまったりして楽しい空気を作り出すことができた。 えりかちゃんは結構、相手のテンションに合わせて話をしてくれる。私といる時は大体一緒にのんびりしてるから、そういう空気の時に、千聖の話は持って行きづらかった。だけど、そろそろ切り出してもいい頃なのかもしれない。 でも、その前に・・・ 「愛理?どうしたの黙り込んじゃって。」 「ん、ちょっと」 私はぴょこんと立ち上がって、えりかちゃんたちのところへ歩いていった。 「千聖借りていきまっす!」 「え、あ、あら?愛理?どうしたの?」 「おーどうぞどうぞ!」 私は楽屋の外に千聖を連れ出した。誰もいないことを確認すると、不思議そうに私を見つめる千聖に小さい声で切り出した。 「ねえねえ千聖、いきなりで悪いんだけど・・・近いうちに、千聖のお家にお泊りに行きたいな。」 「え・・・えっ!そっ、な、え、ええ?」 慌てるとフガフガしちゃうのは相変わらずみたいだ。口をぱくぱくさせる顔が可愛らしい。 「ダメ?」 千聖は首を横に振る。 「そんな、ダメだなんて。でも・・・愛理のおうちみたいに広くはないし、家族が多いから騒がしいかもしれないわ。」 「別に、そんなこと。私ね、もっと千聖といっぱい喋る時間が欲しいんだ。私の家でももちろんいいんだけど、何か千聖の家って面白そうなんだもん。コンサートの時とかも、仲良し家族って感じで目立ってるし。」 「愛理・・・、わかったわ。お母様に聞いてみる。何だかドキドキしてしまうわ。キュートのメンバーがお泊りに来るのは初めてなの。」 お買い物デートの時は結局終日2人きりではいられなかったし、今度こそ千聖を独占してみたい。 それで学校や仕事のこと、えりかちゃんのこととかをいっぱい話して、もっと心が近づいたらいいな、なんて思った。 もっと千聖のことを知りたい。もっと私を頼ってほしい。 こういう気持ちを“いとおしい”というのかな。 「楽しみにしてるね」 「ええ、私も。」 私達はちびっこみたいに指きりげんまんをして、またレッスン室に戻った。 「遅いぞ中2コンビ!時間厳守でしょー!」 なっきぃに叱られて肩をすくめながら、私達はチロッと舌を出して微笑み合った。 戻る TOP 次へ コメントルーム 今日 - 昨日 - 合計 -
https://w.atwiki.jp/chisakiss/pages/43.html
千咲ちゃん、変わってしまった天真先輩に涙する 内容 本文 感想コメント 内容 体型が変わってしまい、性格も歪んでしまったガヴリールを、みんながあらゆる方法で更生させるお話。 本文 ――――――――――――――――――(00/28)―――――――――――――――――― ―ガヴリールの家― タプリス「天真先輩、最近痩せました?」 ガヴリール「そうか? そんなに変わってないと思うけど」 タプリス「それに顔色も悪いですし、頬も少しだけ、こけてきたような……」 ガヴリール「そういや、このところ体重計に全くのってないな」 ガヴリール「前にのったのは……学校の身体測定だったか」 タプリス「な、何ヶ月前の話ですか……」 タプリス(はぁ、わたしは毎晩のるたびに、びくびくしてるのに) タプリス(さすが先輩というか、なんというか……) タプリス「ちょっとのってみましょう」 ガヴリール「え、いいよ、めんどい」 タプリス「お試し、お試しですからっ、ね?」 ガヴリール「はぁ、しょうがないな……」 ――――――――――――――――――(01/28)―――――――――――――――――― タプリス「……」パクパク ガヴリール「あれ、少し落ちてるか」 タプリス「す、少しどころじゃありませんよ!」 タプリス「この体重計、壊れてませんよね?」 ガヴリール「たぶん。そうだ、お前ものってみたら?」 タプリス「な、なるほど、それでわかりますね……」 スッ タプリス「……うっ、正常みたいです」 ガヴリール「へぇ、お前と今、10キロ以上も違うのか」 タプリス「や、やめてくださいぃ」 タプリス「そんな風に言ったら、わたしが重すぎみたいじゃないですか……」 ガヴリール「身長差もあるし、こんなもんじゃないの?」 タプリス「いやいやいや……先輩が痩せ過ぎなんですって」 ガヴリール「そうかぁ?」 タプリス「先輩、運動なんてほとんどしていないのに……」 タプリス「ごはん、ちゃんと食べてます?」 ガヴリール「あー、最近ネトゲのイベントで忙しかったから」 ガヴリール「ちょっと食べてなかった時が、あったかもしれない」 タプリス「……ちょっとって、どれくらいです?」 ガヴリール「そうだな……3日くらい?」 ――――――――――――――――――(02/28)―――――――――――――――――― タプリス「はぁ!? な、何やってるんですか先輩! 死んじゃいますよ!」 ガヴリール「大丈夫だって、水分はちゃんと摂ってるし」 ガヴリール「サプリも一応飲んでるし」 タプリス「いやいやいや……そんなんじゃ絶対、体壊しちゃいます」 ガヴリール「心配症だな、お前は」 タプリス「そんな話を聞かされたら、誰だって思いますよ……」 ガヴリール「とにかく、だ。結果的に、お金の節約にもなってるし」 ガヴリール「健康にも全く問題は出てない。これで、話は終わり」 タプリス「は、はぁ……」 ―ヴィーネの家― タプリス「……というわけなんです」 ヴィーネ「最近、少し放置していたら、そんなことになってたのね」 タプリス「このままでは天真先輩が、骨と皮だけになっちゃいます……」 ヴィーネ「すぐにどうこう、ではないと思うけど……私に任せて?」 タプリス「な、何か方法があるんですか?」 ヴィーネ「要はね、たくさん食べさせればいいのよ。シンプルシンプル」 タプリス「でも、あのずぼらな天真先輩ですよ?」 ヴィーネ「私にいい考えがあるの」 タプリス「いい考え、ですか?」 ――――――――――――――――――(03/28)―――――――――――――――――― ―ガヴリールの家― ヴィーネ「今日からしばらく、ここに泊まるわね」 ガヴリール「はぁ? お前なに言って……」 ヴィーネ「タプちゃんに相談されたのよ」 ヴィーネ「このままじゃ天真先輩が、ガリガリールになっちゃうーって」 ガヴリール「……絶対、お前が思いついただけだろ、それ」 ヴィーネ「というわけで、私の管理のもと、一日三食しっかり食べてもらうわ」 ガヴリール「えぇー、めんどい」 ヴィーネ「めんどいって何よ、ガヴは食べるだけでしょうが……」 ガヴリール「噛むのがめんどい、飲み込むのがめんどい」 ヴィーネ「これは重症ね……まぁ、いいわ。キッチン借りるから」 ―― ガヴリール「あ、うまそうな匂い……」 ヴィーネ「今日のお昼は、チンジャオロースよ」 ガヴリール「ごくり……」 ヴィーネ「でも、ガヴは食べるのが面倒なんじゃなかったっけ」ニヤニヤ ガヴリール「……いや、せっかくお前が作ってくれたんだからな」 ガヴリール「た、食べてやるよ」 ヴィーネ「ふふっ、素直でよろしい」 ――――――――――――――――――(04/28)―――――――――――――――――― ―数日後 ガヴリールの家― タプリス「天真せんぱーい、肉まん買ってきましたー」 ガヴリール「おう、サンキュー」 タプリス「あ、なんだか少し顔色が良くなりました?」 ガヴリール「ん、そうか?」 ヴィーネ「今までが、悪すぎだったのよ……」 タプリス「それにしても、さすが月乃瀬先輩ですね!」 ガヴリール「……まぁ、こいつの料理はそこそこだからな」 ヴィーネ「あんだけ食べといて、どの口が言うか」 タプリス「あはは……、あ、この肉まんもどうぞどうぞ」 ガヴリール「ああ、もらうわ」モグモグ タプリス「……ふふっ」 ガヴリール「ん、どうした?」 タプリス「い、いえ。こうやって、渡したものを」 タプリス「天真先輩に食べてもらえるのが、なんだか嬉しくて」 ヴィーネ「あー、それはわかる気がするわ」 ヴィーネ「なんというかガヴって、気持ちのいい食べ方してくれるから」 ヴィーネ「作る側としては、やりがいがあるというか、嬉しいのよね」 ガヴリール「そうかぁ? 普通だろ」 タプリス「まだまだたくさんありますから、いっぱい食べてくださいね」 ――――――――――――――――――(05/28)―――――――――――――――――― ―数週間後 ガヴリールの家― タプリス「……天真先輩、最近、少しふっくらしました?」 ガヴリール「そうか? そんなに変わってないと思うけど」 タプリス「顔色は良いみたいですけど、頬が少しだけ……」 ガヴリール「そういや、前にお前と体重計にのったのが最後だったな」 ガヴリール「ちょっとのってみるか」 タプリス「えっ、あ、はい」 ―― タプリス「……」パクパク ガヴリール「少し増えてるか」 タプリス「いやいやいや……」 タプリス(わ、わたしよりも、重くなってるじゃないですか) ガヴリール「まぁ、ちょっとくらい体重あった方が」 ガヴリール「健康的でいいよな」 タプリス「あはは……、そ、そうですね」 タプリス「そういえば、月乃瀬先輩は、まだ泊まっているんです?」 ガヴリール「いや、もう帰ってる」 ガヴリール「時々ごはん作りに来てくれてるけど」 ガヴリール「最近は自分で買ったりして、食べてるな」 タプリス「そ、そうですか……」 ――――――――――――――――――(06/28)―――――――――――――――――― ―数日後 ガヴリールの家― ガヴリール「あれ、スカートのファスナーが」 ズッ ズズッ ガヴリール「あ、上がらね……」 ガヴリール「……」 ガヴリール「まぁ、今日は学校行かなくていいか……」 ―トイレ― ガヴリール「ふぅ……」 ガヴリール「ん?」 ガヴリール「……太ももの隙間、こんなにピッチリだったっけ」 ガヴリール「まぁ、いいか……」 ―お風呂場― シャァァァァ ガヴリール「ん……あれ?」 ガヴリール「んんっ」 ガヴリール「あ、足に手が……届かね」 ガヴリール「ぐぬぬぬぬっ」 ガヴリール「はぁ……疲れた」 ――――――――――――――――――(07/28)―――――――――――――――――― ―数週間後 ガヴリールの家― サターニャ「なはははっ、ガヴリール、何よその格好!」 ガヴリール「なんだよ」デプッ サターニャ「くくっ、しばらく会わないうちに、随分と醜い姿になったじゃない」 ガヴリール「別に、私の勝手だろ」デプッ サターニャ「そんなんじゃ、ガヴリールじゃなくて、デヴリールだわ! なはははっ!」 ガヴリール「……お前、死にたいのか?」デプッ タプリス「て、天真先輩、おさえてくださいっ! 胡桃沢先輩も言いすぎですよ!」 ラフィエル「でも確かに、少し大きくなりすぎてしまった感じはしますね」 ラフィエル「そんなガヴちゃんもかわいいですが……」 ラフィエル「いったい何があったんですか?」 ヴィーネ「ごめんなさい、きっと私がたくさん食べさせすぎたせいで」 タプリス「わたしも隙あらば、食べ物をあげてましたから……同罪です」 ガヴリール「おいおい、人をペットみたいに言うなよ……」デプッ ガヴリール「それに、私が食べたいから食べてるだけだ」デプッ ラフィエル「ちなみに、一日どのくらい食べてるんですか?」 ガヴリール「そうだな……」デプッ ――――――――――――――――――(08/28)―――――――――――――――――― ヴィーネ「うわぁ……」 タプリス「わ、わたしの一週間分くらいかもしれません……」 ラフィエル「そうですかそうですかぁ」 サターニャ「ふ、ふんっ、私だってそのくらい食べられるわ!」 タプリス「いやいや、そこは張り合わなくても良いですから……」 ラフィエル「ですが、このままだと体が危ないですね」 ガヴリール「そうか? 大丈夫だろ」デプッ ガヴリール「というか食べずにいたら怒られて、食べたら食べたで怒られて」デプッ ガヴリール「私はどうすりゃいいんだよ」デプッ ヴィーネ「極端すぎるのよ!」 ガヴリール「でも私は、今の生活を変える気はないからな」デプッ ガヴリール「今更、食の楽しみを奪われたら、生きていけん」デプッ タプリス「それじゃあ、運動を始めるとか、ですかね」 ガヴリール「めんどい」デプッ ラフィエル「いいえ、タプちゃん」 ラフィエル「この状態で、最も効果がある方法を試しましょう」 タプリス「最も効果がある方法、ですか?」 ラフィエル「ええ、少々手荒ですが……」 ――――――――――――――――――(09/28)―――――――――――――――――― ガシャン ガヴリール「おい! なんだよ、この檻!」デプッ ラフィエル「無駄ですよ、その檻は対天使用の特別製ですから」 ラフィエル「……こうなった以上、ガヴちゃんの自由を無理やり奪って」 ラフィエル「食事制限をするしかないんです」 ガヴリール「こ、これが天使のすることか! この悪魔め!」デプッ ラフィエル「……これもガヴちゃんのためですから」 ガヴリール「な、何が私のためだ! 非人道的すぎるだろっ!」デプッ ガヴリール「私が……私が何をしたっていうんだよ!」デプッ ヴィーネ「ガヴ、ごめんなさいね、少しの辛抱だから……」 タプリス「天真先輩……ごめんなさい……」 ガヴリール「この裏切り者! お前ら、あれだけ私に食わせておいて」デプッ ガヴリール「あまりに無責任すぎるだろっ!」デプッ ヴィーネ「……ッ」 ラフィエル「彼女たちを責めるのはお門違いですよ、ガヴちゃん」 ラフィエル「恨むなら私だけを恨んでください」 ガヴリール「くそぅ……ちくしょう、ちくしょう……」デプッ ―― ラフィエル「あとは私に任せてください」 ヴィーネ「あ、ありがとうね、ラフィ。私だときっと、ガヴを甘やかしちゃうから」 タプリス「天真先輩をよろしくお願いします、白羽先輩」 ――――――――――――――――――(10/28)―――――――――――――――――― ―その日の晩 ガヴリールの家― ギリッ ギリギリギリッ ガヴリール「あがっ! あがががっ……」 ガヴリール「食べっ、食べ物……肉っ……!」 ガヴリール「ぐるじい……、食べたいっ……食べたいっ……」 ガヴリール「死ぬ……死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ……」 ガヴリール「だずけで……だ、誰か、だれかっ……」 ガヴリール「……ッ!?」 ガヴリール「……そうだ」 ― 一週間後 ガヴリールの家 ― ラフィエル「ガヴちゃん、今日の分の食事ですよ」 ラフィエル「昨日の分は……ちゃんと食べてますね、偉いです」 ガヴリール「……」 ラフィエル「それでは、失礼しますね」 バタンッ ラフィエル「……」 ラフィエル(おかしい……) ラフィエル(既に、この生活を始めて、一週間が経ちました) ラフィエル(そろそろ数字に出てきてもおかしくないはず) ラフィエル(なのにどうして、何も変化が……) ラフィエル(ま、まさか……) ――――――――――――――――――(11/28)―――――――――――――――――― ―その日の深夜 ガヴリールの家― ギィ バタンッ ガヴリール「……!? ヴィーネ!!」 ガタンッガタンッ ヴィーネ「……」 ガヴリール「早く! 早く早く早く!!」 ヴィーネ「……はい、これ今日の分」スッ ガヴリール「あはっ、あはははっ、特盛り! さすがヴィーネ! お前は命の恩人だ!!」 ぎゅっ ヴィーネ「あっ……」 ガヴリール「愛してる!! 本当に愛してるぞ!! ヴィーネ!!」 ヴィーネ「……ッ」カァァ ガツガツガツ ガヴリール「うまい……ぐすっ……うまいよぉ……」 ヴィーネ「よかった」ニコッ ラフィエル「……よくありませんよ」 ヴィーネ「えっ!?」 ガヴリール「なっ!?」 ラフィエル「ヴィーネさん、勝手なことをされてしまっては困るんです」 ――――――――――――――――――(12/28)―――――――――――――――――― ヴィーネ「だ、だって、こんなの! ガ、ガヴが死んじゃうから!」 ラフィエル「死にはしませんよ、ちゃんと私が管理しているんですから」 ラフィエル「でも、一番悪いのはガヴちゃんです」 ラフィエル「ヴィーネさんの優しさに付け込んで」 ラフィエル「大げさにメッセージでも送ったのでしょう」 ラフィエル「助けて、死ぬ、などのような」 ガヴリール「嘘じゃない! 本当に死にそうだったんだ!」 ガヴリール「だから、お、お前は、私を殺そうとしていたんだぞ!」 ラフィエル「万が一にでも、そういう気があったのなら……」 ラフィエル「私には、いつだって、実行することはできたはずです」 ガヴリール「だったら、私をなぶり殺そうとしてたんだ、お前は!」 ラフィエル「……ッ」 ガヴリール「どうせ、苦しんでいる私の姿を見て、裏で楽しんでたんだろう!」 ――――――――――――――――――(13/28)―――――――――――――――――― ラフィエル「……本気で、言ってるんですか、ガヴちゃん」 ガヴリール「冗談なんか、言うはずないだろ!」 ラフィエル「……」 ヴィーネ「ガヴ……ラフィだって、あなたのことを思って……」 ラフィエル「……わかりました。もう終わりにしましょう」 スッ チャリン ラフィエル「それは、その檻の鍵です。これでガヴちゃんは自由ですよ」 ガヴリール「やった! ありがとう、ラフィエル!」 ガヴリール「お前はやっぱり、良い奴だな!」 ラフィエル「……」 ヴィーネ「ラフィ、ど、どうして……」 ラフィエル「いえ、気が変わっただけです。それでは、私は失礼しますね」 ガヴリール「おう、またな! おやすみ!」 ラフィエル「おやすみなさい、ガヴちゃん。良い夢を」ニコッ ――――――――――――――――――(14/28)―――――――――――――――――― ガツガツガツ ガヴリール「あー、うまいうまい、うますぎるぅ」モグモグ タプリス「あ、そうだ。天真先輩、良いものをあげましょうか」 ガヴリール「ん? 食べ物以外はいらんぞ」 タプリス「ええ。なんと、その食べ物が数倍おいしく感じられるようになるサプリです」 ガヴリール「えっ、そんなものがあるのか!」 タプリス「はい、体中の細胞を活性化することができる、とかなんとか」 ガヴリール「よくわからんけど、ありがとな、タプリス」ゴックン ガツガツガツ ガヴリール「ほんとだ! 桁違いにうまくなった!」モグモグ ガヴリール「もっとだ、もっとくれ、タプリス!」 タプリス「仕方ありませんね」 ドバァ ガヴリール「うまい! うまいうまいうまい!!」モグモグ ブヨッ ガヴリール「ん?」 ブヨブヨブヨッ ガヴリール「なんか体が大きくなって……まぁいいか」モグモグ ――――――――――――――――――(15/28)―――――――――――――――――― ブヨブヨブヨブヨッ ビキビキッ ドゴォン ガヴリール「なっ!? ア、アパートが、崩れて!?」 ガヴリール「で、でも……手が、口が止まらない!」モグモグ ガヴリール「タプリス! か、体がどんどん大きくなっていくんだけど!」 タプリス「そうですね、でも良いじゃないですか」 ガヴリール「えっ?」 タプリス「おいしいものを、好きなだけ食べることができるんですから」 ガヴリール「そ、そうだけど、このままじゃ」モグモグ ドシンッ ガヴリール「ぐえっ、お、おなかが苦しい……」モグモグ ガヴリール「でも、食べるのをやめられない!!」モグモグ ブヨブヨブヨブヨブヨッ ガヴリール「うげっ……だ、だめだっ、破裂しそう……」モグモグ ガヴリール「タプリス! 助けっ、助けてくれぇ!」モグモグ タプリス「それは……無理ですよ」 ガヴリール「ど、どうして!? どうしてだよ!!」モグモグ タプリス「だってもう……天真先輩は、手遅れなんですから」ニコッ ガヴリール「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」モグモグモグモグ ブヨブヨブヨブヨブヨッ パァンッ ――――――――――――――――――(16/28)―――――――――――――――――― ―早朝 ガヴリールの家― ガヴリール「うわぁぁぁぁぁっ!!」 ガヴリール「はぁ、はぁ……ゆ、夢?」 ガヴリール「よ、よかったぁ……な、なんて夢だよ……」 ガヴリール「でも、このまま食い続けたら……いつか、あんな風に?」 ガヴリール「いやいや……あり得ないだろ。ただの夢だ、夢なんだ」 ガヴリール「……」 ―その日の昼 ガヴリールの家― ガツガツガツ ガヴリール「あぁ、うまい! やっぱり檻に監禁とか頭おかしいよな!」モグモグ ガヴリール「こうやって、食べられるうちに食べることが、一番幸せなんだ」 ガヴリール「……そ、そうに決まってる」 ピンポーン ガヴリール「……タプリスか、どうした?」モグモグ タプリス「相変わらずの食べっぷりですね……」 ガヴリール「そうか? 普通だろ」 タプリス「それでですね。実は、天真先輩におすすめしたいものがありまして」 ガヴリール「え?」 ――――――――――――――――――(17/28)―――――――――――――――――― タプリス「このお薬なんですけど……」 ガヴリール「なっ!?」 タプリス「先輩? ど、どうしました?」 ガヴリール「いらない! そんなものはいらない!」 タプリス「え、でも……」 ガヴリール「いらないって言ってるだろ! そんな怪しいもの!」 タプリス「あ、怪しいって……これ、薬局で買って……」 ガヴリール「いいから! もって帰ってくれ!! 早く!!」 タプリス「で、でも……」 ガヴリール「そんなもん、二度と持ってくるな!!」 タプリス「ごめっ……ごめんなさい……」 タプリス「わ、わかりました……わたし、帰りますね」 バタンッ タプリス(食べるのがやめられないなら、せめて……) タプリス(胃薬で少しでも体への負担を軽くしてほしかったのに……) タプリス(どうして、こんな……) タプリス(こんなことになってしまったんでしょう……) タプリス「……」 タプリス(もう、こうなったら、あの方法しか……) ――――――――――――――――――(18/28)―――――――――――――――――― ―数日後 ガヴリールの家― ピンポーン ガヴリール「ん、誰だ?」 タプリス「天真先輩……お邪魔します」 ガヴリール「またお前か。言っとくけど、薬は受け取らないぞ」 タプリス「えっと、違います、今日は……」 ガヴリール「ん……うしろに誰かいるのか?」 タプリス「さ、ガヴリールお姉ちゃんですよ」 ガヴリール「え?」 ハニエル「……」ジーッ ガヴリール「なっ!? ハ、ハニエル!?」 ガヴリール「どうしてハニエルが下界に!? お前が連れてきたのか!?」 タプリス「はい、特別に許可をもらって、数時間だけ」 ガヴリール「な、なんてことを……」 ハニエル「……ガヴリール、おねえちゃんなの?」 ガヴリール「え? な、何言ってるんだ、ハニエル。そうに決まってるだろ?」 ガヴリール「まさかお姉ちゃんのこと、忘れてしまったなんて、言わないよな?」 ガヴリール「ほら、私がガヴリールお姉ちゃんだぞ」 ハニエル「……うそだ」 ――――――――――――――――――(19/28)―――――――――――――――――― ハニエル「こんなひと、おねえちゃんじゃない」 ガヴリール「なっ!?」 ハニエル「ねぇ、タプリスおねえちゃん」クイクイ タプリス「ど、どうしたの、ハニエルちゃん」 ハニエル「ガヴリールおねえちゃんは、どこにいったの?」 ガヴリール「……ッ」 タプリス「ガ、ガヴリールさんはね、ちょっと……」 タプリス「そう、遠くに。遠くに出かけてて……」 ハニエル「とおく? とおくって?」 タプリス「それは……」 ハニエル「それって、あうことができないってこと?」 ハニエル「だって、ガヴリールおねえちゃんに、あえるってきいたから」 ハニエル「ここまでやってきたのに……」 ハニエル「ねぇ、どうして? ぐすっ……どうしてあえないの?」ポロポロ ハニエル「おねえちゃんに、あいたい……」 ハニエル「あいたいよぉっ……うぇぇぇぇん」 タプリス「……ッ」 ぎゅぅ タプリス「ごめんね、ハニエルちゃん。ぐすっ……本当に、ごめんね」 ハニエル「うぇぇぇぇん」 ガヴリール「……」 ――――――――――――――――――(20/28)―――――――――――――――――― タプリス「……こんなに小さな子供を連れ出すなんて」 タプリス「卑怯だと罵ってくれて構いません」 タプリス「わたしたちは、天真先輩がどんなお姿をしていようとも」 タプリス「いろんな理由から、諦め、察して、目を瞑ることができます」 タプリス「……ですが、この子にとっては違うんです」 タプリス「ハニエルちゃんにとっては、一人の大切なお姉さんが」 タプリス「この世から消えてしまったんですよ」 ガヴリール「……ッ」 タプリス「わたしだって……、わたしだって、できれば……」 タプリス「以前の先輩に、戻って欲しい、です」 タプリス「今の生活を続けて、体を壊してしまったり」 タプリス「もし、万が一のことが起きてしまったら、その時は……」 タプリス「わたし、一生後悔して、自分を……責め続けてしまうから」 タプリス「どうしてあの時、力づくでも先輩を止めなかったんだろうって」 タプリス「自分のことを、許せなくなってしまうからっ」 タプリス「だから、お願いです、先輩……」 タプリス「そういう人たちもいるんだってこと、わかってください」 タプリス「お願い、ですからぁ」ポロポロ ガヴリール「……」 ――――――――――――――――――(21/28)―――――――――――――――――― ハニエル「タプリスおねえちゃん、なかないで?」ナデナデ タプリス「ご、ごめんね、ハニエルちゃん。ありがとう」 タプリス「あまり時間はないですけど、この後、少し下界を案内してあげます」 タプリス「おいしい、お菓子もいっぱいあるんですよ」 タプリス「さ、行きましょうか」 ガヴリール「……1ヶ月だ」 タプリス「えっ?」 ガヴリール「ハニエル、よく聞け!!」 ガヴリール「お前のガヴリールお姉ちゃんはな! 1ヶ月後に必ず帰ってくる!!」 ガヴリール「絶対に絶対!! 帰ってくるから!!」 ガヴリール「絶対に、絶対に、絶対だ!!」 ハニエル「……ほ、ほんと?」 ガヴリール「ああ、約束だ! だから、家でいい子にして待っててくれ!!」 ハニエル「うんっ、わかった!」 タプリス「先輩……」 ガヴリール「すまなかったな、タプリス。おかげで目が覚めた」 ガヴリール「ハニエルのこと……よろしく頼む」 タプリス「そ、それは良いですけど、1ヶ月でなんて……」 ガヴリール「……絶対にやりきってみせる」 ――――――――――――――――――(22/28)―――――――――――――――――― ―その夜 ガヴリールの家― カチッ カチカチカチ ガヴリール「うぉぉぉぉっ、マッハクリック!!」 カタカタカタッ ガヴリール「はぁぁぁぁぁっ、マッハタイピング!!」 ガヴリール(空腹なんて、我慢我慢我慢……) ガヴリール(目の前の敵に集中しろ! 全て蹴散らしていけ!!) ガヴリール(1ヶ月、絶対に戦い抜いてやる!!) ―― タプリス(こうして1ヶ月間、水だけで生活する) タプリス(天真先輩の壮絶ネットゲームライフがスタートしました) タプリス(空腹に負けそうになったら、水を飲みながら敵を倒し) タプリス(空腹で眠れなくても、敵を倒し続けて) タプリス(ゲーム内でついた二つ名は、鬼神、だったそうです) タプリス(わたしも時々、様子を見には行きましたが) タプリス(手を動かしていない時間は、なかったほどです) タプリス(そうして、戦いに戦い続け、時は流れていき……) タプリス(ついに、1ヶ月が経ちました) ――――――――――――――――――(23/28)―――――――――――――――――― ―1ヶ月後 ガヴリールの家― ラフィエル「これは、驚きました……」 ヴィーネ「ガヴ、すっかり元通りじゃない!」 ガヴリール「まぁ、私はやればできる子だからな」 タプリス「まさか本当に1ヶ月でやりきるなんて……」 ガヴリール「まぁその……なんだ。まず、ヴィーネ」 ヴィーネ「え、な、なに?」 ガヴリール「お前の優しさに甘えて、それを自分のいいように利用して」 ガヴリール「本当にすまなかった」 ガヴリール「これからも、時々でいいから、見捨てないでもらえると助かる」 ヴィーネ「ガヴ……、水臭いわよ。そんなの、気にしてないから」 ガヴリール「ありがとな、ヴィーネ」 ガヴリール「そして、ラフィエル」 ラフィエル「はい」ニコッ ガヴリール「憎まれ役を買ってでも、私を気遣ってくれたこと」 ガヴリール「本当にありがたく思ってる」 ガヴリール「そして、お前への数々の暴言、許してほしい」 ラフィエル「平気ですよ、こうやって無事に丸く収まったんですから」 ラフィエル「それに、少しだけ面白かったですしね」 ガヴリール「あの、夢とかか?」 ラフィエル「うふふ、なんのことでしょう」 ――――――――――――――――――(24/28)―――――――――――――――――― ガヴリール「最後に、タプリス」 タプリス「はいっ」 ガヴリール「私の体のこと、いつも心配してくれて、ありがとうな」 タプリス「いえいえ、そんな……」 ガヴリール「私、決めたよ」 タプリス「えっ? な、何をですか?」 ガヴリール「絶対に、お前よりも長生きしてやるってな」 タプリス「天真先輩……」 ガヴリール「そしたら、お前を悲しませることはないだろ?」 タプリス「……ぐすっ、はいっ」 タプリス「でも、わたしだって負けませんから」 ガヴリール「じゃあ、どっちが長生きできるか、勝負だな」 タプリス「ええ、受けて立ちます」ニコッ ―― タプリス「それとですね、今日はスペシャルゲストが来ているんです」 ガヴリール「ん?」 ハニエル「……」ジーッ ガヴリール「ハ、ハニエル!?」 ――――――――――――――――――(25/28)―――――――――――――――――― ガヴリール「あの……わ、私のこと……」 ハニエル「ガヴリールおねえちゃん!」 ぎゅぅ ガヴリール「わっとと! ハ、ハニエル、私のこと……わかるのか?」 ハニエル「えっ? そんなのあたりまえでしょ?」 ハニエル「どうしてそんなこときくの?」 ガヴリール「そうか……そうか、よかった……」 ハニエル「……? へんなおねえちゃん」 ガヴリール「遅くなって悪かったな、ハニエル。いい子にしてたか?」 ハニエル「うんっ! ずっと、いいこにしてたよ!」 ガヴリール「そうか、偉いぞ」ナデナデ ぎゅぅぅ ハニエル「おねえちゃん?」 ガヴリール「……お姉ちゃん、もうどこにも行かないからな」 ハニエル「えへへ、ほんと? うれしいな」 タプリス「天真先輩……ぐすっ、よかったですね」 ガヴリール「ああ、こいつをここに連れてきてくれて、ありがとな」 ハニエル「それより、あの、にくだるまのおねーさんは、どこにいったの?」 ガヴリール「に、肉ダルマぁ?」 タプリス「ぷふっ、あはははっ」 ヴィーネ「おかしいっ、肉ダルマですって! 言い得て妙ね!」 ガヴリール「おいおい、勘弁してくれ……」 みんな「あははははははっ!」 ――――――――――――――――――(26/28)―――――――――――――――――― バタンッ サターニャ「ガヴリール! ようやくこの時が来たわ!」デプッ ガヴリール「ん? お前、誰だ?」 サターニャ「は? 大悪魔のサタニキア様に決まってるじゃない!」デプッ サターニャ「ついに、あんたが一日で食べてた量の……」 サターニャ「二倍を食べられるようになったわ!」デプッ タプリス「あぁ、そういえば、何か張り合ってましたね……」 ヴィーネ「しばらく学校に来てないと思ったら……」 サターニャ「ふっふっふっ、いざ尋常に」 サターニャ「どっちがより多く食べることができるか、勝負よ!」デプッ ガヴリール「……ああ、そういうの、もういいから」 サターニャ「な、なんですって!? というか、あんた、しぼんでない?」デプッ ガヴリール「お前がでかくなったんだよ、ブターニャ」 ハニエル「あれれー、ちがう、にくだるまのおねーさんだ!」 サターニャ「な、なななななっ!!」デプッ ――――――――――――――――――(27/28)―――――――――――――――――― ゴゴゴゴゴッ ラフィエル「サターニャ、さん?」 サターニャ「ひっ! な、何よ、ラフィエル!」デプッ ラフィエル「サターニャさんに、そんな醜い姿は似合いません」 サターニャ「ひぇっ!!」デプッ ラフィエル「覚悟して、くださいね♪」ニコッ ―河川敷― タッタッタッ チャリンチャリン ビシッビシッ サターニャ「痛い! 痛いってば!」デプッ ラフィエル「ほら、もっと速く走ってくださーい♪」 サターニャ「ひぃっ! ガ、ガヴリールのときと、全然扱いが違うじゃない!」デプッ ラフィエル「これはですねぇ、愛ゆえの厳しさです! いわば、愛のムチです♪」 ビシッビシッ サターニャ「それ、ほんとのムチじゃないのよ!」デプッ ラフィエル「ほらほら無駄口を叩かずに。夕日に向かって、レッツゴー♪」 サターニャ「もう、許してってばぁぁぁぁぁっ!!」デプッ おしまい ――――――――――――――――――(28/28)―――――――――――――――――― SS一覧へ このページのトップへ 感想コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る